家庭学習の手引き

1、家庭学習の手引きについての考え方

小・中学校での学習は、子どもたちが将来社会人として自立するための基礎となる「学ぶ力」を育てます。  

学校でも、学習内容が定着するように日々努力していますが、家庭学習を通して家庭との連携を図ることで、より確かなものになるのではないかと考えます。そこで、家庭学習の手引きを作成し、保護者の皆様に配布することに致しました。保護者の皆様には、趣旨をご理解いただき、ご協力賜りますようお願い致します。

2、「学ぶ力」とは

「学ぶ力」とは、子どもたちが学ぶことの意味や楽しさに気付き、生涯にわたって意欲をもち学び続ける力のことを言います。例えば、「もっと調べてみたい」「もし・・・だと、どうなるのだろう」「なぜ、・・・なのだろう」などと、自分で疑問や課題をもちながら、知識を生かし、見通しをもって考えて学習を行うことです。

そのような力を付けていくためには、家庭学習を毎日続けることが大切です。しっかりとした考え方や集中力だけでなく、学習習慣が身に付き、困難なことに出合ってもすぐにあきらめず積極的に挑戦使用とする力が備わります。家庭学習の定着は、子どもの主体性や自立性を伸ばし、目標をもって人生を心豊かに生きる力となって、将来への大きな財産となるだろうと考えています。

3、家庭学習を通して育てたい児童の姿

  • 生活時間を有効に使うことができる児童 (勉強や読書、手伝いに使う時間が、テレビやゲームに費やす時間よりも多い児童)
  • 家庭学習の習慣や方法を身に付けた児童
  • 基礎的・基本的な学習内容を身に付けた児童

4、基礎的・基本的な学習内容とは

主として学校で学習する内容(教科書に記載されている内容)です。 特に、次のような技能は、各学年間でつながりをもっていますから、それぞれの学年で確実に身に付けておくことが望ましいと言えます。

  • 教科書に出てくるような文章をすらすらと読むこと
  • 教科書に出てくる漢字を読んだり書いたりすること
  • 教科書に出ているような算数の問題を解くこと

5、基本的な生活習慣・家庭学習の習慣と学力の関係

全国学力・学習状況調査の質問し調査の結果によると、次の項目に「している」「どちらかといえばいている」と回答した児童は、「してない」「どちらかといえばしていない」と回答した児童よりも。平均正答率が高い傾向が示されています。

  • 毎日朝食を食べている
  • 毎日、同じくらいの時刻に寝ている・起きている
  • 家で学校の宿題をしている
  • 読書が好きである

6、家庭の環境づくり

子どもが、集中して家庭学習に取り組むことができるよう、次の点に配慮していただきたいと思います。

(1)生活リズムを整える

  1. 「早寝・早起き・朝ごはん」や朝の排便など、規則正しい生活を送らせる
  2. 睡眠時間を十分にとらせ、食事に気を配る
  3. テレビやゲームの時間などのきまりをつくり、約束事を守らせる

(2)学ぶ雰囲気をつくる

  1. 学習の場所は、学習机でも食卓でもかまわないが、静かで集中できるところで行わせる (テレビや音楽は消す)
  2. 学習時間を決めて、「短時間で集中的に」行うことができるようにする
  3. 身の回りの整理整頓をさせる(机の上は学習道具のみ、使い終わったら一回一回片づける)
  4. 学校で使う道具・持ち物の準備・点検の習慣を身につけさせる
  5. 毎日の読書の時間を決め、続けさせるようにする(低学年では、一緒に読んだり、音読を聞いてあげたりすることが励みになる)

(3)努力を認め、励ます

  1. 「よくできたね」「ていねいに書けたね」「大きな声で読めたね」など、子どもの頑張りを認める言葉かけを行う
  2. 「この問題、分からない」と聞いてきたら、「教科書持ってきてごらん」「自分ならこうやるよ」と子どもの努力に手を貸す。やってみてどうもはっきりしない時は、「明日、先生に聞いてごらん」とアドバイスする
  3. 子どもが頑張った成果(ノートやプリント等)に目を通し、努力を認める

(4)答え合わせを自分でする(中学年以上)

「答え合わせをする意味」

子どもたちにとって答え合わせは、「正解・不正解」を確かめるだけの活動と思われがちですが、実際は、学習内容の理解にかかわる重要なものと言えます。

「不正解」だった問題については、「どこが間違っているのか」「どうして違ってしまったのか」をていねいに探ることにより、『自分の理解度』を把握し、『弱いところの補強(再考する・練習する)』をすることによって『確かな定着』へとつながっていきます。このプロセスを忠実に実行していくと、『間違えることが、より確実に覚えることにつながる』と分かります。

7、家庭学習に向かう姿

(1)学年の発達段階による姿

低学年

  • 学校の宿題ができる
  • 宿題以外にも、少しずつ自主的な学習ができる
  • 少しずつ自分で答え合わせができる

中学年

  • 学校の宿題が確実にできる
  • 宿題以外にも、自主的な学習に取り組むことができる
  • 自分で答え合わせができる

高学年

  • 学校の宿題が確実にできる
  • 計画的に家庭学習に取り組むことができる
  • どんなことに取り組むかを考え、必要感のある学習ができる
  • 自分で答え合わせができる

(2)家庭学習の時間の目安

学年×10分(例えば6年生なら6×10=60分)

あくまでも目安として捉えて下さい。興味・関心のある内容、やりがいのある問題に取り組んでいる場合は、それ以上になることでしょう。また、休日や長期休業など自由に使うことのできる時間が確保できるのであれば、さらに30分〜60分程度増やせるとよいでしょう。

(3)家庭学習の内容

宿題

必ずしなければならない課題です。主に「読む」「書く」「計算する」などの基礎学力を身に付けることを目的として出しています。

自主学習

自分で課題を見つけ、追究する力が育ちます。思考力や表現力など、社会人として必要な力が身につきます。

自主学習の一例

国語 算数 社会・理科・総合 外国語・家庭科 他
・漢字練習 ・教科書やドリル問題 ・勉強したことに関係あることがらを本や資料集、地図帳などで調べる ・アルファベットや学習した会話表現を練習する
・視写 ・計算練習 ・授業で学習したことをもう一度まとめ直す ・学習したことを家庭で確かめてみる
・言葉の意味調べ ・百マス計算 ・テストの問題をもう一度解く  
・日記 ・生活の中から問題を見つける    
・音読 ・テストの問題をもう一度解く    
・テストの問題をもう一度解く ・市販の問題集の問題を解く    
       
       

他にも・・・

  • 新聞や読み物の感想をまとめてみましょう
  • 国語辞典、漢字辞典、その他の図鑑などを身近に置いて調べてみましょう
  • 日本地図、世界地図、地球儀を身近に置いて調べてみましょう
  • できる範囲で、新聞に目を通してみましょう
  • 詩や歌の暗誦をしてみましょう(百人一首の暗誦も良いですね

8、家庭学習に困ったとき

この手引きに、発達段階に合わせた参考例を載せています。そちらを参考にしていただき、取り組んでいただければと思います。

また、お子さんにも、児童向けに作成した手引きを配布しておりますので、合わせてご活用下さい。