令和7年度を迎えて
 令和7年度がいよいよスタートしました。今年度も引き続きよろしくお願いいたします。本校の学校教育目標には「自立」「貢献」の2つの柱を掲げ、自ら考え課題を解決し、心豊かで社会に貢献できる生徒の育成を目指しています。SDGsの基本理念である持続可能な社会をバックボーンに、自己肯定感を高める地域・社会福祉活動に生徒会を中心に現在取り組んでいるところです。生徒が自分の良さや秘めている可能性に気付き、その能力 を発現できるよう、令和7年度も昨年度以上に、自分たちで、「気づき・考え・実行する」精神で、寺尾中学校の生活をより充実したものにできるよう努めてまいります。
 昨年度も作家の司馬遼太郎さんの著書「21世紀に生きる君たちへ」という書物から「人間は鎖の一環です」と言う言葉を引用しました。私たちは「人間のつながり」を認め合って生きていくことが大切で、その自覚のもとに個としての自分を最大限に生かして成長していこうとする、その思いにとても共感できます。私たちは人と人とのつながりを認め合って今を生きているからです。人間は過去から現在に至り未来への延びでゆく長い鎖を創り続けて、生きていると考えると、今日までつなぎ創られた長い鎖が人の歴史であり、現在を生きる私たちはその鎖につながる「一つの環」であることが、とても尊い、素晴らしいことだと思えてなりません。しかもその鎖を未来に向けて更に延ばし続ける役目を負っているという、責任もあるわけです。その「鎖の一環」を寺尾中学校に例えれば、同様なことが考えられます。これまでの先輩達が、今日まで努力して寺尾中学校の鎖(歴史・伝統・校風など)を創り続け、つなぎ続けてきてくれたおかげで、今を迎えることが出来ているからです。その鎖に、今の寺尾中学校で生活するみなさんができる限り強く太い素晴らしい鎖の一環を創りあげ、それをつなぎ留めていくことで、また新たな歴史を刻み、後世に寺尾中学校を繋いでいく役目を担っているのです。
 今、みなさん一人ひとりは、それぞれ自分自身を精一杯に磨きあげ、今後につなげる強固な鎖の一環になるよう、授業に部活動に、学校の全ての活動に一所懸命取り組み、自分を鍛え上げるために1日1日を大切に過ごしています。日常の学習をはじめ、あいさつ、部活動など、これは他の学校に負けない、これは誰にも負けない、自分にとって絶対に自信があると言い切れるものを中学校生活の中で創っていく、その構えを自分の中にしっかり構築し、心の成長を図ってほしいと強く願っています。一人一人のその意識が、一つの自分の環を創り、他のみんなと結びあって、強固になり、寺尾中学校という鎖を強固にし、未来につなぎ続ける大切な一つの環となっていきます。寺尾中学校をさらに素晴らしい学校に創り上げていきましょう。
 寒の戻りによって、桜の開花が若干遅くなっていますが、あちらこちらで花が咲き始め、山肌がピンク色に染まり始めています。新しい第一歩、船出です。
 保護者の皆様、地域の皆様、豊かな田園の風景の中に、凜とたたずむ寺尾中学校に「清らかな風」を運ぶ最大の力は、生徒であり、皆様です。日頃から見守り、支えていただいていることに感謝申し上げ、令和7年度も皆様のご理解、ご協力をいただきながら、教職員一同努力してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

高崎市立寺尾中学校 校長 橋爪 幸雄